■臨床心理士指定大学院過去問分析
●お茶の水女子大学大学院人間文化研究科発達社会科学専攻
専門(心理学)
出題形式としては、用語説明や論述問題がほとんどです。問題の分量が多めですので、時間配分を考えながら解く力も必要になります。出題傾向としては、発達心理学と臨床心理学のほか、心理測定・心理統計・心理学研究法に関して出題されます。発達心理学領域からは、幼児期・児童期に関するものが広く出題されています。臨床心理学領域では、心理療法に関する論述を求める大問が必ずあります。精神分析や家族システム論といった心理臨床の理論のほか、健康心理学や社会臨床論的なテーマの出題があります。研究の方法論に関する設問が必ずあり、統計や測定論の知識を活用しながら心理学の実証研究を立案し評価する能力が問われます。知覚・認知・生理といった基礎心理的な領域についてはあまり出ていませんので、焦点を絞って効果的に準備を進めて下さい。
外国語(英語)
まとまった量の英文の全訳が中心です。英文の内容は発達心理学や臨床心理学に関連する踏み込んだ話題のものが多いですが、心理学用語を正確に和訳できるかどうかというよりは、語学力に重点を置いての出題がされているようです。ですので、文法的に複雑な構文や、直訳では日本語として意味の通りにくいものもかなり含まれています。必ずしも心理学に関するものでなくとも構わないので、難易度が高めの英文を普段から読んで力をつけておくと効果的でしょう。
●筑波大学大学院人間総合科学研究科ヒューマン・ケア科学専攻
心理学(発達臨床心理学・臨床心理学)
全て論述式での出題で、空所補充や多肢選択などは全くありません。そのため、正確な理解と高い文章力とが要求されます。出題傾向をみると、毎回かなり広い範囲から出題がされています。臨床心理学領域からの出題は必ずありますが全体に占める割合はそう高くはありません。心理臨床活動の倫理についての出題が多いほか、臨床心理学の研究手法、ストレス、理論間の比較などがよく問われており、個別の心理療法・アセスメント技法・症状・人名などに関する出題はあまりないところが特徴的です。発達心理学領域からは、主に母子関係など幼児・児童心理に関して出題されています。教育心理学についての出題が必ずあり、教授学習過程や教育評価についてよく問われます。社会心理学領域では、社会的認知と集団心理とが主な出題範囲になっています。基礎心理学的な領域からは、視知覚や脳研究についてよく問われます。心理統計学に関する出題が必ずあり、何問か出ることも多いので忘れずに押さえておいて下さい。
英語
英語は、他専攻と共通の一般的なものと、専門領域に関するものとに分けて出題されます。いずれもそれなりの分量がありますので、時間配分を考えつつ読解を進めることが大事です。共通問題では、英文の和訳や内容理解が問われます。文章の内容は主に健康や教育などに関するもので、英書や英字新聞からの抜粋であることも多いため、英文としては比較的平易なものになっています。普段から新聞などで社会的なトピックについて基礎知識をつけておくと理解しやすくなるでしょう。専門領域の出題は、英文和訳と和文英訳との両方が必ず出ています。英文和訳は、まとまった文章の全訳の場合が多いですが、下線部のみの場合もあります。和文英訳の出題もあるのが特徴的で、1パラグラフ程度の和文が提示され、全訳を求められます。専門用語を正しく訳せるかどうかというよりは、学術的な英文として適切なものが書けるかどうかに重点があるようです。
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